築50年超の歴史ある住宅団地で行われた窓リフォームをご紹介しましょう。
稲毛海岸三丁目団地の創立は1968年。RC5階建27棟、全768戸で構成されています。
住棟間隔が広く豊かな緑と芝生が広がる敷地、多世代を巻き込んだコミュニティ活動、保育園や小中学校も近接、徒歩圏内にふたつの駅があるなど、その良好な住環境は長く住民に愛されてきました。
その一方で、典型的な高経年マンションの悩みもあります。
建物の劣化はその代表格でしょう。過去に建て替え計画も持ち上がりましたが、バブル崩壊の時期にかち合うなどで実現しませんでした。現在は再生へと舵を切り、建物を大切に直しながら“80年マンション”をめざしています。
窓リフォームのきっかけは、2009年に行われた全世帯対象のアンケートでした。半数以上の住民が“不具合のある箇所”としてサッシの戸車を挙げたのです。
その後、東日本大震災による液状化被害の修復工事などもあり窓まわり工事はおあずけとなりましたが、2015年に改めて行われた住民アンケートでは、96%が戸車やクレセントの不良、すき間風などの悩みを挙げ「窓サッシを改修してほしい」と希望。
2016年度の大規模修繕工事に合わせ、全住戸の窓リフォームが決まりました。
お邪魔したのは、管理組合理事長を務めるKさんの住まいです。ご夫婦で暮らす4階の3LDK63㎡の住戸に7箇所の開口部があります。
南西向きにベランダとふたつの掃き出し窓が並ぶリビングダイニング、北東面に水まわりという配置で、サービスバルコニーにつながるキッチンドアの上げ下げ窓から「いい風が入ってきます」と奥様。
庇が大きく張り出したベランダごしの日射は、夏の日中はほぼ室内に入ってこないといいます。「ただ、西日はありますね」とは、南西向き住戸の常でしょう。
冬場は「まぶしいのでカーテンを引くほど」たっぷりの日差しがリビングの奥深くまで差し込みます。南正面に隣接棟がなく、芝生と樹木の点在する緑地帯となっているからです。見通しがよく、プライバシーにも心配がありません。
ゆとりある住棟配置は、現代の都市部マンションで得るには難しい特長といえるでしょう。